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地研ニュース

2019年度 地域研究所研究会(第1回~第3回)レポート

2019年10月03日 木曜日 / カテゴリー 地研ニュース

地域研究所では、旭川市と周辺自治体の当麻町、鷹栖町、東川町、東神楽町、また上川総合振興局、旭川商工会議所、上川農業普及センター、旭川市社会福祉協議会、旭川市永山地域包括支援センター、独立行政法人国立病院機構旭川医療センター等、それぞれ<産業・経済>、<福祉・医療>、<教育・文化>(地域の3本柱)の分野で活動されている機関の取り組みの課題等を含めて、北海道道北地域振興を中心に、お互いの研鑽の場とする研究会を開催しています。

2019年度の第1回研究会(6月28日開催)は共通テーマを「地域研究を考える」とし、地域研究の方法論を中心に議論しました。松岡昌則先生(地域研究所所長/保健福祉学部コミュニティ福祉学科教授)から「地域研究の重要性」、北島滋先生(短期大学部副学長・教授)からは「社会学の立場から地域研究をどう考えるか」という個別テーマで、「不安をしずめるための拠り所として」帰属すべき仲間(ムラ)を求める傾向にある現代において「新しい共同社会のあり方を原理的に探り出す」ことの意義、そして近代市場社会の理屈を反省し現代を越えるための思想的方法・根拠を求めることの重要性、地域社会の課題を多様な学問領域から分析しその成果を総合化する営みの必要性(研究者相互の対話を通じた固有の視座・方法の脱構築)、方法としての参与観察等について報告いただきました。

第2回研究会(7月26日開催)は、浅沼大樹先生(経済学部准教授)に「まちなかキャンパスの現状と根本的課題」というテーマで報告いただきました。<地域に根ざし、地域を拓き、地域に開かれた大学>を建学理念に掲げる本学が、旭川市7条緑道に設置している「まちなかキャンパス」の存在意義、教育・研究機能、市民交流機能、それに関連する地域づくりの重要性について議論がありました。

第3回研究会(9月20日開催)は、講師に重本直利先生(元龍谷大学経営学部教授)と三宅正伸先生(大阪経済法科大学地域総合研究所客員教授)をお招きし、また北島滋先生(短期大学部副学長・教授)にも参加いただき、「社会共生学が拓く地域活性化の可能性―地域の経営資源をどのように活用するか―」という共通テーマで報告いただきました。
基調講演「社会共生学の理念と方法」では、重本先生に社会共生学の基本的な考え方について解説いただきました。社会共生学は「共生社会」を実現する方法に関する学問であり、共生社会を地域社会(コミュニティ)が地域の各レベルでの共生を可能とするための「下からの」市民的調整様式(レギュラシオン)=ソーシャル・マネジメントとして捉えるとしています。そして、共生社会は、地域社会内外の連帯経済(域内経済循環)、社会的経済(「社会を経済に埋め込む」から「経済を社会に埋め込む」へ)であるとし、「地域の社会的価値」(多様性)の承認と連携こそがそれらの基礎になっているとのご説明をいただきました。
事例報告では、三宅先生から「京都市における社会共生の事例研究―福祉の地域づくりを考える」、北島先生から「ニセコ町における社会共生のまちづくりを巡る歴史・現状・課題」というテーマで、それぞれ福祉と観光・地域づくりに関する社会共生学の事例について報告いただきました。本研究会には旭川市内外から70名を超える多数の参加者が集まり、活発な質疑応答もあって、盛況のうちに閉会となりました。

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