第26回現代メディア研究会を開催しました
7月27日(土)、第26回現代メディア研究会を開催しました。今回は、1年田中ゼミの伊藤有希菜さん、有馬あかりさんが来てくれました。コミュニティ福祉学科の森田さんも参加してくれました。以前、短期大学部の学生は来てくれたことがあったのですが、保健福祉学部の学生は初めてです!また、キャリア支援課職員の阿部さんも参加してくれました。ありがとうございます。
題材は、漫画『違国日記』です。作者のヤマシタトモコは、女性誌、ボーイズラブ誌、青年誌と掲載誌のジャンルを問わず活躍しています。『HER』では雇用格差など、社会構造によって生まれる立場の違いと困難について描写し、作者の代表作の1つとなりました。このマンガがすごい!(2011)では、『HER』が第1位に選出されいます。現代的な女性性・男性性について、真摯に描き続けている作家です。
単行本全11巻を事前に読み、当日150分ディスカッションを行いました。テーマは、①高代槙生について:朝への向き合い方をどう思うか、②田汲朝について:朝の孤独をどう思うか、③笠町信吾について:現代女性にとって理想的な男性とはどんなものかです。
テーマ1では、槙生について話しました。参加者からは、「槙生ちゃんの語彙が好き」「ああいうことばを使える人には憧れる」という意見、「友だちになりたい」という意見があがりました。田中先生は、「こんな苛烈な人が実在していたら、本当は疎ましく思うんじゃない?」と質問していました。児童文学作家である槙生は、魅力が多くありながら、他方で社会に適応・適合できていない特性を持った人物として描かれています。「私は自分に槙生的な部分があるし、槙生を好ましく思うけど、今の社会で彼女が人気者になるとは思えないですね」というのが先生の感想でした。また、槙生の境界線(バウンダリー)の引き方についても議論しました。自己と他者の境界線を引き、その上で時に勇気を出して線を飛び越えていくことの可能性が最終巻では示されています。
テーマ2では、作中の孤独に関わる描写を引用しながら話しました。「朝の孤独と槙生の孤独は違う種類のものではないか」「朝の孤独が濃いのは、親を失ったからではないか」という話題が出て、「しかし、両親が生きていた頃から父は不在だったし、母は支配的だったし、朝の孤独の理由は交通遺児に由来しないような…?」と思いました。「よい孤独と悪い孤独がある」というトピックもあり、自分の孤独はどうだろうかと考えている最中です。何かを生むような孤独の時間を持つためには、どうしたらいいんでしょうか。
テーマ3では、男性社会を降りたキャラクターとして登場する笠町について話しました。3年田中ゼミの中田翼さんは「僕にとってはパワフルな男性が理想。笠町くんは、優しくていい人だけど弱々しいと感じる」とコメントしていました。マッチョですね!笑。他の参加者からは、「ホモソーシャルから抜け出ることは難しい」「笠町くんは存在自体が貴重」「2024年現在、ケアを担当できる男性がこの世に少なすぎる」と議論が盛り上がりました。メディ研においては、「ケアを担当できる男性」が理想的な人物のようです。
メディ研では、現代メディアを通じて、私たちの生きるこの社会について考えます。今まさに直面している問題ばかりなので、解決策はありません。答えのない問いについて考えることは楽しいですね。今回のメディ研は、私の卒業論文にも関わる内容(家族のリキッド化)でした。卒業論文を執筆する際にも、この日の議論に立ち返りたいと思います。
頼れるOB・OGです!
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ワッハッハ
な〜にを言うておるのですかの顔(三者三様)
お気に入りの巻を持って
4年 森内真史