第27回現代メディア研究会を開催しました
8月22日(木)、第27回現代メディア研究会を開催しました。専修大学商学部1年の吉田桃子さん、本学教務課の林山あすみさん、メディ研立ち上げメンバーである春名弥郁さんが参加してくれました。初めて来た人、久しぶりに来た人、いつもの人たちとが混じり合い、楽しい時間となりました。
題材は、山内マリコ(2016)『あのこは貴族』です。事前に小説を読んできて、当日ディスカッションを行いました。東京で生まれ育った華子と富山から上京した美紀が主人公です。都市と地方などさまざまなものを対比する形で、現代社会を描いています。
1つ目のディスカッションテーマは、「作中で描かれている『東京』と『地⽅』をどう感じたか」です。この小説には、多様な記号が並んでいます。東京では、帝国ホテル、鳩居堂、エルメスのカレ、タクシー移動。地方では、漁港、新幹線、寂れた商店街、自家用車移動などです。弥郁さんは、現在都市に住んでいることもあり、「都会へ行って、見たこともない車が走っていて驚くことはないですか。エンブレムも知らないような」「住んだことがなくても、歩いている人、走っている車を観察することはできますよね」と話を振ってくれました。田中先生は「好きな街へ行ったら、どうしてこの街が素敵だと思うか考えてみるといいですね。日本橋と池袋でどちらが居心地がいいのか、それはなぜなのか」と言っていました。
マーケティングのゼミ出身者としては、もっと具体的なブランドネームに言及して、ポジショニングの話ができるとよかったなと反省しています。これまでの学びとメディアを結びつけていきたいです。これから都市へ行く際には、都市で暮らす人たちの様子、風景、アイテムをスキャンしてみます!
2つ目のディスカッションテーマは、「⼥性同⼠の連帯は妨げられる。分断を退けられるか」です。この小説は、女性同士の連帯の重要性を明示する作品です。しかし、現実においては、連帯が阻害されています。「女性同士で分断された経験がない」「自分の周りでは分断を見たことがない」と発言する参加者が多く、議論が停滞しました。作中で示された通り、女性同士の連帯が妨げられることが当たり前になっているのだと感じました。
3つ目のディスカッションテーマは、「狭い場所から脱し、⾃分で⾃分を肯定する世界へ向かうには何が必要か」です。こちらも、作品の結末(と巻末の書評)にしたがってディスカッションを行いました。まず、「今いる場所が『狭い』と自覚する必要がある」という意見が出ました。「自分で気づくか/周りに気づかせてもらうかの2パターンがある」という考えです。その他には、「移動には準備・体力が必要なため、自分の力では難しい。誰かに連れて行ってもらう」という意見が出ました。私の場合、周りからの評価が自己評価に影響するので、自分を評価してくれるところへすぐさま移動します。
今回のディスカッションでは、普段の思考がよく現れました。私も物事にアンテナを張って、いつでも話せる状態にしておきたいです。
春から上京予定の4年生
久しぶりの弥郁さん!
登場人物である逸子を感じる林山さん(林山さんも好きなキャラクターだそうです)
大人のラリーは早い
ポリポリ
翼さん、守りの時間(定例)
田中先生の好きな小説で、今回はレジュメまできってくれました
飛び出していく者、残る者、考える者、それぞれです
キャリア形成と暮らしについて考えているところです
2022年度卒業生 石川真白