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私の地域研究活動

第2回 私の地域研究活動

2016年06月20日 月曜日 / カテゴリー 私の地域研究活動

河田祐也(経済学部助教・地域研究所運営委員)

 私が地域研究に関心を持つようになったのは、大学院時代に、カール・ポラニーの研究者として知られる故・野口武彦先生の授業や研究会で、「突出した市場を社会に埋め戻す」ことの重要性を学んでからです。現在の消費社会においては、貨幣による問題解決の領域が広がったことによって、人と人との関係は希薄になり、無機質で冷たいものになっています。生活における様々なニーズが市場で満たされるのであれば、かつては多くの地域で見られた「結い」などの互酬的交換に基づく人と人との関係は、煩わしいものとして敬遠されるようになります。しかし、私たちは、そのような煩わしい人間関係から解放され、商品交換によって生活における様々なニーズを首尾よく満たすことができるようになっても、そこには人と人とのつながりや温もりなど、何か満たされないものがあることを感じとるようになっています。現在の「まちづくり」をはじめとする地域課題の根には、こうした「冷たいが心地よい商品交換の論理」と「温かいが煩わしい互酬的交換の論理」の対立があり、地域課題を解決していくカギは、この対立にどのように折り合いをつけていくのかということにあると考えています。難しい問題ですが、これからの研究課題としてしっかり取り組んでいきたいと思います。

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