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私の地域研究活動

第5回 私の地域研究活動(コラム)

2019年06月14日 金曜日 / カテゴリー 私の地域研究活動
私の地域研究活動
経済学部 杉村樹可
 日本の地方にある多くの地域では、人口減少と高齢化の進展、製造業の海外移転や規模縮小、地元小売店の減少などが、じわじわと地域経済を疲弊させている。地域経済が疲弊すれば、人口減少と高齢化の進展等がさらに進み、地域経済をさらに疲弊させる負のスパイラルが加速する可能性も考えられる。地方都市が都市としての機能を果たせなくなる状況も夢物語ではないだろう。
 地域経済を支えるのは、地域の中小企業である。私は、これまで約40年の間、政府系金融機関に勤務して中小企業金融に携わり、地域の中小企業経営の観点から、地域経済を注視してきた。そして、東京や大阪、京都、秋田、福島、北海道などの中小企業に寄り添い、各地域の経済を体感してきた。それらを通じて分かったことは、各地域にはそれぞれ異なった歴史や伝統、文化があるように、各地域の経済はそれぞれ特徴も課題も異なることだ。そして、最も大きな問題は、多くの地域で将来の地域経済の疲弊に対抗する有効な改善策が見出されていないことである。このことは、旭川についても同じである。
これらの問題意識から、私は、地域産業政策と社会共生学(旧、社会経営学)にかかる2つの研究会に所属し、それぞれ20名余りの他大学や行政機関のメンバーとともに地域にかかる情報収集・交換や研究報告を行っている。そして、今年、旭川大学地域研究所年報に「大学の地域貢献―地域経営レベルの貢献は可能か―」を掲載させていただくこととなった。
 私は、前述の問題に対する解のひとつが、「社会経営」もしくは「社会共生」ではないかと考えている。つまり、地域や企業の「経営」にかかる基本的な姿勢をこれまでの「経済競争的経営」から「社会共生的経営」へシフトさせ、地域に存在するヒト・モノ・カネ・情報などの経営資源だけでなく、文化や歴史や自然を含めた地域それぞれの資源を発掘し、強みを伸ばし、連携し、総合的に活用する仕組みをつくることが、地域経済を疲弊への道から連れ戻す方法となるのではないかということである。
 これらを出発点として旭川大学地域研究所と関わらせていただき、私の地域研究活動を発展させ、かつ地域に貢献することができればと考えている。
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