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田中ゼミ

ジェンダー論のテキストを読み終えました

2022年12月06日 火曜日 / カテゴリー 田中ゼミ

 4年田中ゼミでは、卒業研究の執筆と並行してテキスト輪読を行います。後期は、杉田俊介(2021)『マジョリティ男性にとってまっとうさとは何か #MeTooに加われない男たち』を読みました。章ごとにレジュメを作成し、毎週報告を行いました。

 現在、性別に関わる差別や不平等への意識がますます高まっています。本書は、世界的な潮流となった#MeToo運動などを取り上げ、この社会における己の立ち位置や与し方に戸惑う多数派の男性へ応答する一冊です。現代社会を捉えるためにはジェンダー論の視角が必要だろうという考えから、ゼミテキストとして選書されました。

 テキストの前半では、多数派男性が置かれている立場や状況が整理されています。フェミニズムや男性学における基礎的な知識を学びました。テキストの内容と何気ない日常のシーンを照らし合わせることで、ゼミの中で何度も議論が生まれました。「男性特権」ということばがしっくりこず、疑問を持つ男子学生も多くいましたが、「無自覚」であること、「無関心」が許されることそのものが特権であると知って、より内容に入り込んでいったことを覚えています。

 テキストの後半では、前半の内容を踏まえた上で、オルタナティブな男性性とは何か、「正しさ」と「まっとうさ」の違いは何かが書かれています。筆者は、ラディカル・メンズリブの意義を提示していました。これまでのフェミニズム運動の歴史から、マルクス経済学や資本主義における女性の立場、男性が享受してきた特権とそれ故の被害について記述されており、経済学部生として目を背けられない内容でした。他方、この本では、男性も犠牲者の側面を持っていることが述べてありました。男性もまた傷ついているが、その痛みは社会構造から生まれているものであり、戸惑いながら社会と自己の変革を進めていくしかないんだというのが筆者の主張でした。

 あるゼミ生は、「女子力」ということばに違和感を覚え、そのことばをよく使う友人に思い切って話を切り出したそうです。コミュニケーションを取った結果、「確かにおかしいね」と返答があったとのことでした。今までの当たり前を見返し、考え直すきっかけを作り出すと共に、自分の疑問や違和感を言語化して他者に伝える勇気を与えてくれる、そんな本だったと感じています。

 さらに、本書で紹介されている映画『マッド・マックス 怒りのデスロード』、『ズートピア』、『ジョーカー』を鑑賞することで、創作物をさまざまな視点から解釈することを学びました。一人で見るには重たい作品もあったため、ゼミのメンバーと一緒に見て色んなことを言い合えて安心できました。鑑賞後に実社会や生活と照らし合わせることや、シンプルに映画の感想を言い合えたことなど、田中ゼミならではの学びだったと感じます。特に『ズートピア』では、主人公女性ジュディのリベラルな姿勢に共感する人もいれば、男性ニックのシニカルで現実主義者的な一面に共感する人もいました。多様な背景や考えを持つゼミのメンバーと意見を交わし、自分とは異なる価値観を知りました。

 残りのゼミは卒業研究のみとなりました。学生生活をよい形で締めくくるため、執筆に集中したいと思います。

 

毎回ひいひい言いながら読み進めました(むずかし〜い)

 

戸惑いながら話す

 

話し続けます

 

4年 小山内景

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