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北村ゼミ

障害のある人の自立生活を見聞

2024年11月27日 水曜日 / カテゴリー 北村ゼミ

障害当事者団体の代表として全国的な活動をされている林優子さん宅を訪問しました。脳性麻痺で重度の身体障害のある林さんは、幼い頃から親元を離れて施設で育ちました。養護学校の幼稚部から高等養護学校まで、障害のある人たちだけの集団で育った林さんは、学校を卒業後、若い頃は専門学校に通って事務系の資格を取り、自動車運転免許も取得しながら、幾度も就職にチャレンジしましたが、いずれも不採用に。その後は障害の種別を越えた全国の仲間たちとのかかわりを元気の源にして、現在も市内の通所施設に通いながらホームヘルプサービスを利用し自立生活を営んでいます。

障害者団体の役員として、道外への出張も頻繁に出かける林さんのバイタリティーに圧倒されたゼミ生たちですが、あらかじめ読んだ林さんら当事者の日常を紹介した書籍『すきなときに すきな人と すきなところへ ~ひろげよう!障害者権利条約』(きょうされんKSブックレットNo.23.2015)を事前に読み、質問を準備していたので、障害者雇用や公営住宅の障害者優先入居の実際、ホームヘルパー活用の具体的な経験など、短時間ながら貴重なお話を伺うことができました。林さんがこれまでに経験してきた、美容室や飲食店、公共交通機関などでの差別的な対応をはじめ、自立生活をおくる上での地域(旭川)の現状や課題も参考になりました。障害者総合支援法に基づく制度と実際について、もっと学ぶ必要性があるとゼミ生は痛感したようです。

「入所施設やグループホームではなく、ひとりの人間として分け隔てのない人生を送りたい」とのメッセージとともに、障害者権利条約が呼びかけている「誰とどこで暮らすのかを選択する権利」が保障される社会基盤の整備のために、ソーシャルワーカーは何をすべきか、林さんからも重要な問題提起があり、今後の宿題として持ち帰りました。

参加したゼミ生の感想は、逐一掲載いたします。

ゼミ生にやさしく語りかける林さん

林さんの話に熱心に聴き入るゼミ生

林さんら、障害のある人たちの日常が紹介されている、きょうされんブックレットNo.23

[感想(抜粋)]

〇幼い頃から、障害への理解が今よりまだまだ少ない時代に施設入所を強いられ、外出も自由にできない生活を送られた経験自体に尊敬を感じた。しかし、これから「65歳の壁」について不安を語られていた  のが印象的だった。「65歳の壁」とは、障害者総合支援法第7条で原則として介護保険制度が優先され、そのことで受けていた在宅福祉サービスが受けられずに生活が変わる可能性があること。介護保険では原則1割の応益負担が生じ、負担が重くなるのである。今後はそうした課題に向けての制度改正が望まれると思いました。(工藤)

〇障害のある人は、あまりにも低額な通所施設での工賃など、仕事だけでなく、生活する場所の問題でも苦労されていること、障害者に対する差別の実態などがよく解りました。(吉澤)

〇厳しい寮生活や施設での訓練など、自分たちよりもずっとたいへんな経験をされてきたことにひたすら尊敬です。「障害」があることで努力が実らないこと、そして「障害者」として一括りにされる社会や進路選択が制限されている世の中にとても不満を感じました。(馬橋)

 

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