東京都立松沢病院「日本精神医学資料館」の見学を通して vol.2
vol.1のつづき
視聴後は、資料館の中を館長の説明を受けながら回らせていただきました。展示物には先ほどの映像資料に出てきた、手・足枷や電気治療などの実物の器具や保護隔離病棟そのものに加えて、歴代病院の模型や歴史変遷を説明した掲示物、さらに一番驚いたものは、かつての入院死亡患者の「ホルマリン漬けされた脳」までも見ることができました。また、資料館の外には入院患者が労働によって心を癒し、人とのコミュニケーションを学ぶことを目的に、患者2人1組の共同作業によって造設した大きな池(当時の患者のあだ名にちなんで「将軍池」と呼ばれる)があり、亀やすっぽんなどの生き物が現在も住んでいます(ほぼ、飼っています)。
(※当時に行われていた治療や治療器具です。)
(※枷や鎖は鉄製です。)
(※「将軍池」にてすっぽんの餌付け中。)
【番外編】
(※名画『ピネルの病者開放』の患者模写です。五所先生が思わず吹き出します。「・・・大変、気に入りました。」)
今回、通常の見学時間が2時間のところ、資料館の方の多大な協力もあり、およそ4時間にわたりこのような見学を行うことができました。また、資料館だけでなく、現在開院にある都立松沢病院の院内見学もさせていただきました。さらに、見学の合間に急遽に襲った台風による雷と大雨により、館内で休憩時間のご提案をいただき、かつての旧病棟で長期入院患者が年一回に楽しみにしていた夏祭りで振る舞う「かき氷」をご馳走していただきました(その時間はつまり完全オフレコとして、過去の入院患者にいた歴史偉業人物名や入院治療の様子など教えていただきました。これらの実事例は私達の守秘義務とします。)
(※まさか「かき氷」をいただけることになるとは思っていませんでした。この日はとても暑いため、美味しかったです。患者さんとって「夏祭り」はさぞ楽しかったことでしょう。」
この度の見学を通して、目的としていた精神病院の歴史について学ぶということが、予想以上に十分に達成することができたと思います。今回学んだ知識や撮影させてもらった資料は、今後の卒業研究と次年度の活動報告にも活かすことを予定しており、その大きな成果の一歩になったと考えています(次年度には今回の活動と以後の研究を踏まえ、パネル展示を用いた報告を企画していますので、ぜひ、聞きに来てください。膨大な資料のため本稿では紹介しきれません)。
今度はさらにイギリスの精神医療の歴史や精神病院を解体したイタリアの歴史についても学んでいきたいと感じました。
皆さんも東京に行く機会があれば(事前に予約は必要ですが)、ぜひ“チラッ”とでも見に行ってみてください。大変、貴重な機会になることは間違いありません!
文責:コミュニティ福祉学科 3年 尾上 瑞葵