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五所ゼミ

前期ゼミ活動報告:文献抄読を通じた福祉の学び

2025年08月13日 水曜日 / カテゴリー 五所ゼミ

こんにちは!
五所ゼミナールです!!ホームページをご覧いただきありがとうございます。
今回は授業で行った文献抄読に関する討論についてまとめました。
これまでに以下の5つの報告を行いました。

○虐待を受けた子どもを救うためにできること 発表者:井上美悠
是枝裕和氏の「万引き家族」から、虐待を受けた子どもを中心にどのような支援をしていくべきかについて考えました。
 議論は一つ目に、虐待された子どもはそれでも家族の元に戻りたいと思うかについて、二つ目は、具体的に子供や保護者に対してどのような支援をしていくべきかについて、三つ目は、もし虐待をされている子どもに出会ったらどのように行動するかについてです。
 虐待のある家族が孤立しないように普段から近所で交流をするべきという意見や、学校などと連携し継続的に支援していくべきだという意見のほか、子どもも保護者も相談しやすい環境づくりの重要性が指摘されました。

○『楽園』から地域を考える  発表者:吉田彩華
 映画『楽園』をもとに地域生活の共生をテーマに議論を行いました。
 一つ目の議題は、「社会的少数派も多数派も、安心して暮らせる地域にするには?」です。「高齢者と子育て世代」のような年齢や立場が異なる人の間ではニーズも異なります。社会福祉士がいち早くニーズをキャッチすること、小さな声を代弁して制度や政策に反映させることが重要だと考えました。
 二つ目の議題は、「“見守りあい”が“監視”にならないようにするには?」です。共助や互助に頼りすぎず、基盤の公助を充実させることが重要だと考えました。干渉しすぎて監視にならないように、困ったときに助けを求めらやすい環境を用意するのが社会福祉士の役割であるといえます。

〇映画『ロストケア』より  発表者:佐々木 結咲

実際の介護殺人事件をもとにした映画『ロストケア』から、「死にたい」思いへの向き合い方や、家族と介護のあり方を考えました。

議題1「死にたい気持ちを、尊重するべきか」については、否定も肯定もせずに話を聞く、楽しみを再発見してもらう、ただ近くにいて存在を受け止めることの大切さ、の意見が出ました。死にたい気持ちが湧くのを止めようとするのではなく、死にたいと思うほどの苦しみがある事実を受け止め、苦しみの中に1人にしないことが大切だと感じました。

議題2「絆を呪縛にするものはなにか」については、絆はお互いに相手を思い合う気持ち、何かしてあげたいと相手を気にかけ良い影響を与え合う関係で、呪縛は、見返りを求めたり、やってくれた分返さなければという義務感が強く、お互いが一方的になり、すれ違う関係だという意見が出ました。依存した関係や押しつけにならないためには、優しさや余裕が大切という結果になりました。
今回の文献抄読で、家族、本人、サービスや制度を調和させる重要性と難しさを感じました。今回は大きく対立する意見はなかったので、次回はもっと分散した意見を出し合えるよう具体的な議題を設定して深掘りしたいです。

〇ぼくが生きてる、ふたつの世界  発表者:能登 蓮
ろうの両親をもつコーダの少年を描いた映画を参考に、障がい者とその周囲の人間への関わり方について考えました。
「障害のある親をもつ子どもには、どのような配慮・ケアが必要であるか」では、幼少期から親のケアをすることが当たり前になることを防ぎ、子どもが子どもらしくいられる時間を十分に作る必要があるという意見が出ました。他にも、気軽に相談できる大人の存在や専門職の介入などで親子が孤立することを防ぐ必要があるという意見が出ました。
「配慮と甘え、特別扱いの違いとは何か」という問いで議論したところ、配慮とは、その人ができない部分を補い、周囲と平等な立場を用意すること、甘えとは、自分ができる範囲の行為も他人に任せること、特別扱いとは、支援者側の独断で行う行為であるという意見が出ました。
私はこれらの議論を通して、配慮・ケアという言葉には健常者と障がい者の間で認識のズレがあると感じたため、支援者側が障害を理解し支援のあり方を考えるだけでなく、受援者側も自身の障害を把握し、対処法や必要な支援を周囲に発信するという双方の歩み寄りが重要だと考えました。

○自傷行為について 発表者:赤坂漣音
『なぜ自分を傷つけるの?リストカット症候群』という本から自傷行為について考えました。
1つ目の議題は「なぜ自傷行為をしてしまうのか」について話し合った。自傷行為をすることによって、誰かに心配され自分の存在を確かめるとともに、苦しみや痛みを紛らわし、生きている実感を得ているのではないかと言う意見が出た。
2つ目の議題は「自分にとっての幸福感」について話し合った。幸福と感じられるのは精神的にも身体的にも余裕がある状態であり、一人でいる時間でも誰かが自分のことを思ってくれている安心感や、精神的な繋がりがある状態が幸福と思えるのではないかという意見が出た。
3つ目の議題は「自分の感情をコントロールするための対処法」について話し合った。この議題では実際に自分が行っている対処法を挙げてもらった。中でも目立った意見として、「AIと話す」という意見が出た。スマートフォンが普及していることによる変化ではないかと思う。
4つ目の議題は「自傷行為をしている友達を見つけたときに私達にできること」について話し合った。傷を見せる行為は助けてほしいというサインでもあり、その人の願いや苦しみを表しているため、その人にとってのストレスの原因は何かを考え、苦しみを癒すために長期的に関わるという意見が出た。
自傷行為は自殺をしたいから行う行為ではなく、生きていくための抵抗であると思った。その人の苦しみや痛みを晴らしてあげられるような、依存関係ではない精神的なつながりを築き上げていく必要があると思った。
 

学生それぞれが関心をもったテーマをもとに文献抄読を通じ、活発なディスカッションを行いました。
多様な視点からの意見交換通じて、理解を深める機会になりました。
コミュニティ福祉学科 2年 赤坂漣音 能登 蓮 佐々木 結咲 吉田彩華 井上美悠

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