フィールドワークレポート①:ハンセン病資料館編
こんにちは、五所ゼミ3年生です!
2025年9月25日、私たちは東京都東村山市にある「国立ハンセン病資料館」と「法務史料展示室・メッセージギャラリー」を訪問しました。このフィールドワークでは、ハンセン病の歴史と人権課題、そして日本の司法制度の変遷について学ぶことを目的としました。
【事前学習から始まる探究】
見学に先立ち、私たちはハンセン病やその歴史、施設の概要、地域での取り組みなどについて事前学習を行いました。ハンセン病に関する知識が乏しい中での学習は苦戦もありましたが、差別や偏見の歴史が精神障害の歴史と重なる部分があることに気づき、資料館での学びに対する関心が高まりました。
【展示室での学び】
資料館は三つの展示室で構成されており、それぞれに深い学びがありました。
・第一展示室(歴史展示)
療養所の始まり、強制隔離、らい予防法の廃止と裁判などが紹介されていました。症状の進行とともに治療へのあきらめも深まる一方で、「どうにかして治りたい」という本人の強い願いが、迷信や信仰に傾いていったという展示を見た時、私は2年次におこなった文献抄読『宗教は孤独から人を救うか』(2025年1月29日の五所ゼミナールの記事に掲載されています是非ご覧ください!)を思い出し、信仰の意味を改めて考える機会となりました。
・第二展示室(らい療養所の暮らし)
らい療養所での生活、治療、労働、結婚・断種・中絶などの実態が展示されており、病棟や身体不自由者への看護・介護は「相愛互助」と称して美化され、患者による作業が強制されていたこと、職員の指示に従わない場合には「監禁室」と呼ばれる隔離施設に移されるなどの処遇があったことも紹介されていました。さらに、避妊手術への同意を条件とした婚姻や、本人の意思に反して行われた堕胎手術など、個人の尊厳が奪われていた実態に胸が痛みました。
・第三展示室(生き抜いた証)
化学療法の始まり、患者運動、現在の治療状況などが紹介されており、2025年5月1日時点での療養所所在地と入所者数の展示が印象的でした。全国14か所の療養所では、展示や交流を通じて過去の過ちを繰り返さないための取り組みが続けられています。
【人権を考えるきっかけに】
ハンセン病を経験された方の映像を通して当事者の人生や思いに触れ、「過去を知り、忘れないこと」の大切さを実感しました。差別や偏見の歴史を学ぶことは、現在の社会をよりよくするための第一歩であると感じています。
国立ハンセン病資料館は無料で入館でき、誰もが人権について深く考えることのできる貴重な学びの場です。東京観光の際には、ぜひ訪れてみてください。
コミュニティ福祉学科3年 内田 千晴
印象的だった、療養所所在地と入所者数の展示です。
展示を真剣に見ている五所先生です。
療養所での暮らしがジオラマで再現されていました。
続いて訪れた法務史料展示室については、次回の投稿で詳しくご紹介します。