パスワードのリセットをリクエストしますか?

長濱ゼミ

家族の会の学習会に参加(研究ゼミナール)

2024年07月17日 水曜日 / カテゴリー 長濱ゼミ

長濱ゼミ研究ゼミナール(4年生)の活動報告です。

 

皆さんこんにちは。コミュニティ福祉学科4年の福原知謹(フクハラトモチカ)です。

 

 

 

 

 

去る2024年7月4日に、2023年度からフィールドワークで度々お世話になっております、アトリエ・トムテの利用者のご家族で発足した家族会の勉強会が行われました。

(※アトリエ・トムテは、社会福祉法人【ゴーシュの櫓(やぐら)】が運営する生活介護事業所です。)

 

(アトリエ・トムテの外観)

 

 

 

過去のアトリエトムテのフィールドワークはブログ記事は以下のURLをご参照ください。

1:専門ゼミフィールドワーク報告第一弾

2:専門ゼミフィールドワーク報告第二弾

3:専門ゼミフィールドワーク報告第三弾

 

 

 

また、このフィールドワークを通して継続した関わりを持たせて頂いた以降は、利用者様とご家族の交流会【トムテサロン】にも参加しております。

 

 

 

【トムテサロン】の記事はこちら

1:専門ゼミナール番外編(トムテサロンへの参加)

2:トムテサロン参加報告

 

 

 

そして、

 

このフィールドワーク及びトムテサロンの開催から【自然発生的】に生まれた家族会に、

 

長濱先生と長濱ゼミもアドバイザーとして参加しております。

 

 

 

 

本日は、その家族会で企画・運営された勉強会において、

 

「成年後見制度」

 

を、テーマとして、長濱先生が講師として講義を行いました。

 

(計9人、7家族 および、長濱先生と我ら4年生2人の参加となりました。)

 

 

 

現在、我ら長濱ゼミの指導者の長濱先生は、成年後見人として6名の後見に携わっており、

 

その経験を基に、

 

①成年後見制度のしくみ

②成年後見人の役割

③成年後見制度利用の流れ

④現在の後見の実践事例

 

という流れで講義が行われました。

 

 

 

 

(4年生になって、講義を受ける機会がないので、久しぶりに長濱先生の講義を聞いて懐かしく感じている)

 

 

 

 

また、講義の合間合間で、

家族の方に質問を都度投げかけると、様々な質問が出てくることで、

当事者家族の方の「成年後見制度」に対する関心の高さを伺うことができました。

 

 

 

 

質問の一部抜粋

・家裁が必要なのか

・後見人の指名をすることはできるのか

・途中で後見人を変えることはできるのか

・費用はどの程度かかるのか

・在宅の当事者の後見の前例を教えてほしい

・当事者が亡くなったあと、後見人は何をしてくれるのか

・移動支援の使用法を教えてほしい

・身内までのケアもしてくれるのか

・社会福祉士を後見人に指名することはできるのか

・どのタイミングで後見人をつけるべきなのか

・相談支援専門員とのやり取りは後見人はあるのか

・自分たちの希望をどこまでくみ取ってくれるのか

 

 

などが質問で出てきました。

 

(家族の熱心な質問でどのような思いがあるのかを聞けて貴重な時間であった)

 

 

 

 

最後に、当事者家族の方からの言葉が印象であり、

 

 

常に自分そして家族の終の棲家のことを考えなければならない。

そのとき、誰とめぐり逢えるかはとても重要なことだと思います。

人とのめぐり逢いが価値となり、その色々な機会を得るために行動しなければならない。

 

 

とおっしゃっており、当事者主体の草の根運動の原動力を垣間見ることができ、貴重な時間を体験できました。

 

 

 

 

 

————————————————————————————————————————————————————————————————————————-

ここからは、このフィールドワークを行った後のフィードバックになります。

 

 

我々、大学機関である研究機関は、

 

当事者および関わっている方々の実態およびそのニード(ニーズ)を把握するからこそ、

 

その真理を追究し、発信し、さらなる社会の変革をおこなっていくことができ、それこそが使命だと考えております。

 

 

このように学び深める機会はとても貴重なものであり、今後も真摯に取り組んでいきたいと考えております。

 

 

 

 

 

 

 

今回の体験から、あらためて「【家族会】とは??」などを深堀していきたいと考えておりますので、少し触れさせていただきます。

 

 

 

 

その深堀をするために、「ニード」という言葉を考える必要があると考えます。

 

 

ニードとは・・・

名詞

1.不可算名詞

A. 必要,入用,要求

B. 〔+to do〕〈…する〉必要

C. 〔+for+名詞+to do〕〔…が〕〈…する〉必要

 

 

2.可算名詞

→ 必要なもの,ニーズ

 

3.不可算名詞

A.まさかの時,難局

B.窮乏,貧困

参:weblio英和辞典・和英辞典

 

 

 

この「ニード」、以上の意味を持ちますが、

 

社会福祉を学んでいる僕らにとって、とても重要な言葉であり概念となります。

 

 

 

社会福祉という意味そしてその福祉を充足するためのソーシャルワークと考えた場合、

 

ソーシャルワークは、送り手と受け手の相互作用だといえます。

 

 

その時、ソーシャルワーカーとクライエント双方が取り組みと成果を確認するためには、

 

どのような生活課題が存在し、

 

ソーシャルワーク実践とクライエントの取り組みがどのように生活課題を変化させたか、

 

あるいは、

 

変化させなかったかを常に考えていかなければなりません。

 

 

 

この振り返りともいうべきプロセスには、

 

ブラッドショーが提起した「ソーシャル・ニード」を用いるとフロー的に理解を構築できると僕らは大学で学びこととなります。

 

 

 

 

 

「ブラッドショー」の「ソーシャルワーク・ニード」

 

①.ノーマティブニード

→ 専門家や研究者、行政職員等の支援者側が客観的に評価するニード

 

②.フェルトニード

→ クライエント側が支援の必要性を認識したニード

 

③.エクスプレストニード

→ クライエントが実際に支援を求めたニード

 

④.コンパラティブニード

→ 支援を受けているほかのクライエントとの比較により自らも支援の必要性があると認識されたニード

 

 

なお、

①.ノーマティブニードと ④.コンパラティブニードは客観的なニーズのものに、

②.フェルトニードと ③.エクスプレスニードは主観的なニーズのものとなります。

 

 

 

 

この客観的ニード(ニーズ)と主観的ニード(ニーズ)を座標軸で整理するとこのようになると考えられます。

 

 

 

 

 

第1象限は、客観的ニーズ、主観的ニーズともに+であり、専門性を持った職種の人間によってニーズがあると判断され、また利用者もニーズを自覚し、サービスの利用などを申請している状態

 

第2象限は、客観的ニーズは+であるが、主観的ニーズは-の場合であり、専門職はニーズがあると判断しているものの、利用者にニーズが自覚されていないため、サービスなどの利用申請に結びついていない状態

 

第3象限は、客観的ニーズ、主観的ニーズともに-であり、専門職によってニーズがないと判断され、また利用者もニーズを自覚いていない状態。

 

第4象限は、客観的ニーズは-であるが、主観的ニーズは+の場合であり、専門職はニーズがないと判断しているものの、逆に利用者はニーズがあると自覚している状態

参:地域福祉と包括的支援体制 中央法規

 

 

 

このように整理をしていくと、

 

僕は、今回のアトリエ・トムテ家族の会の発足は、第4象限からのアクションなのではないかと考えております。

 

 

 

 

 

この家族の会の発足は、発足時から関わらせていただいておりますが、

 

①数人の発起人からアトリエ・トムテ利用家族への連絡・調整を行う

そして

②組織化をする

 

という二つの流れを読み取ることができます。

 

 

 

そして、この①と②のプロセスは、主観的ニーズがあったからこそ、

さらに、

社会に対して、例えば、制度的な意味での逆境があるからこそのアクションであることは、家族の会の皆さんの発言からも読み解くことができました。

 

 

 

当然、先述の客観的ニード(ニーズ)と主観的ニード(ニーズ)を座標軸で考えた場合は、第1象限であることがよいと考えられます。

 

 

その時、第4象限を第1象限に向けていくという動きを、僕らは所謂【ソーシャルアクション】と大学では学びます。

 

 

ソーシャルアクションとは・・・

社会活動法と略される。組織的社会福祉活動。社会福祉の全般的な運営改善をめざし、制度・サービス等の創設や拡充等を要求し、議会や行政をはじめとするさまざまな関係機関に対して個人または組織化した集団として直接的な働きかけ行っていく。地域援助技術との関係も深く、地域社会におけるソーシャルアクションは地域援助活動を促進するためにも重要な方法といえる。

参:現代社会福祉用語辞典 九州社会福祉研究会

 

 

 

 

このソーシャルアクションがおこるからこそ、

 

当事者及び当事者家族は地域生活課題の解決を目的として、

 

ピアの集団を形成し、地域で活動できる組織化を行い、

 

また、

 

今回の勉強会のように我々のような研究機関が地域への参入・参加が促進されたといえるのではないかと考えています。

 

 

 

 

 

この一連の流れをさらに視野を変えてみていくと、ソーシャルワークの真髄を垣間見えることとなります。

 

ソーシャルワークの歴史的変遷をものすごくアバウトに考えるとこのような流れをとります。

 

 

 

 

今回の家族会の形成、および我々も伴走さして頂けていることは、まさしくコミュニティワークであると考えられ、

 

このコミュニティワークこそ、

 

当事者及び当事者家族主体のピアの組織化、そしてそれが地域住民、その後、更なる波及へと繋がると予想ができるのです。

 

コミュニティワークの目的は

①誰も排除しない地域共生社会の形成を、住民自治による福祉のまちづくりとして進める。

②当事者・地域住民の主体形成および地域の福祉力を高める。

③地域生活課題に対する暮らしに必要な地域ケア資源や活動、まちの環境を創り出す。

 

 

そして、理念としては、

① 住民主体/当事者主体

② 草の根民主主義/近隣基盤

③ 住民自治/ローカルガバナンス

④ ボランタリズム/社会変換

⑤ ノーマライゼーション/ソーシャルインクルージョン

をもって形成されています。

参:地域福祉と包括的支援体制 中央法規

 

 

 

 

以上、本日の勉強会の様子を発信するまえに、

 

このように、我々長濱ゼミでは、

 

自分たちが今いる立ち入り、そして自分らのアクションがどのような根拠に基づいて行われているのかを、

 

度々学生主体でフィードバックすることも活動の主体の一部としております。

 

 

 

旭川市立大学

コミュニティ福祉学科4年

福原知謹

TOP